甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「あ、市川先輩」
授業の合間の10分休み。
突然後ろから大声で呼ばれて、あたしと諒子は驚いて振り返る。
と、そこにいたのは。
「……」
あまり会いたくなかった岡田くん。
「あ、もしかして俺、忘れられてます?
保健室で手当てしてもらった岡田です」
くったくのない笑顔で話しかけてくる岡田くんに、不愉快さなんて感じない。
それどころか、好印象。
……だけど、会ったり話したりしたくない。
少しでも先生が不安になるような事はしたくないのに。
「あー……思い出した」
忘れてた振りするのが一番かな、と思ってそう答える。
「先輩の手当てのお陰で、無事完治です! ほら!!」
「……本当だ。よかったね」