甘い魔法②―先生とあたしの恋―
あたしにアイコンタクトを送りながら言う諒子に、なんとか微笑んでみるも……。
坂口先生には、彼氏はいないって言った手前、もし岡田くんがまた保健室に行ってそんな話題になったらどうしよう、なんて考えが浮かぶ。
……でも、そんなの自意識過剰かな。
坂口先生だって、そんな事をわざわざ覚えていないかもしれないし。
覚えていたって「彼氏できたんだー」くらいにしか思われないかもしれないし。
「あ、やっぱりいるんすかー……。
なんとなくそんな気はしてたんですけど」
「彼氏いるか聞いてから狙えばいいのに」
諒子が言うと、岡田くんは苦笑いを浮かべたけど、その後すぐににっと笑顔を作った。
「彼氏がいたら諦められるくらいの気持ちなら、最初から好きになりません。
俺、恋愛に関しては一直線で純情なんすよ。
彼氏がいても、自分が納得するまではぶつかります。
いい加減迷惑だって言われたら泣く泣く止めますけどね」
「……」
あまりの潔さ、というか……。
強さを素直に言葉にされて、さすがの諒子も言葉を返さなかった。
岡田くんの言ってる事は、別に悪い事じゃないと思う。
そんなの人それぞれ別の考え方があって当然だし、それをこんなにも自信満々に照れずに言える岡田くんはすごいとさえ思うけど。
……でも。