甘い魔法②―先生とあたしの恋―


 ※※※


「……なんか罪悪感」


移動先の教室でそう漏らすと、隣の席の諒子が笑う。


「あんだけハッキリ言われたら、あの元気少年も凹むかもね」

「でも、別に本気じゃないって言ってたし……」

「早めに摘んどいたわけね。

……いいんじゃない? みんなに気を使ってたら本当に大切なモノが“守れない”んでしょ?」


諒子がにこっと笑いながら指差したのは、あたしの筆箱。

半分がビニール製、半分が厚めの布の生地でできている筆箱にくっついているのは、林檎うさぎ。

この間諒子と買ったストラップ。


『守りたい恋』

そうおまじないのかかった、ストラップ。


「っていうか……なんであたしなんか……。

ちょこっと話しただけなのに」


ストラップを見つめながら言うと、諒子が難しげな顔で笑う。


「実姫って、なんかいつも一生懸命感が出てるからじゃない?

……でも、あの子が実姫を好きになったのは、和馬くんとは別の理由だと思うけど」

「どういう意味?」



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