甘い魔法②―先生とあたしの恋―
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「……なんか罪悪感」
移動先の教室でそう漏らすと、隣の席の諒子が笑う。
「あんだけハッキリ言われたら、あの元気少年も凹むかもね」
「でも、別に本気じゃないって言ってたし……」
「早めに摘んどいたわけね。
……いいんじゃない? みんなに気を使ってたら本当に大切なモノが“守れない”んでしょ?」
諒子がにこっと笑いながら指差したのは、あたしの筆箱。
半分がビニール製、半分が厚めの布の生地でできている筆箱にくっついているのは、林檎うさぎ。
この間諒子と買ったストラップ。
『守りたい恋』
そうおまじないのかかった、ストラップ。
「っていうか……なんであたしなんか……。
ちょこっと話しただけなのに」
ストラップを見つめながら言うと、諒子が難しげな顔で笑う。
「実姫って、なんかいつも一生懸命感が出てるからじゃない?
……でも、あの子が実姫を好きになったのは、和馬くんとは別の理由だと思うけど」
「どういう意味?」