甘い魔法②―先生とあたしの恋―
自分では、そんなに張り詰めて考えてたつもりはなかったけど……。
だけど、思い起こしてみれば。
先生の様子がおかしいって感じ始めたあたりから、気が張ってたのかもしれない。
先生にはあたしが理解できない場所があるって分かってるから。
だからこそ、あたしが出来る事はしたくて。
先生に余計な不安を与えたくなくて……それに、必死だったのかもしれない。
「ハルくんがそれに気づかないのが不思議なくらいだよ。
実姫の事一番見てるのにね」
諒子が付けたした言葉に、あたしは、視線をゆっくりと林檎うさぎのストラップに戻す。
諒子の言う通りだ。
先生は、びっくりするくらいあたしの事を見ていてくれるし、あたしが話した事を覚えてる。
啓太と色々あった時だって、些細な変化に気付いてくれた。
体調が悪いのを隠したって、いつも気付いてくれてた。
……なのに。
諒子と、もしかしたら岡田くんまで気付いたあたしの変化に、気付かなかった。
それが、今の先生の余裕のなさを表しているようで……。
やっぱり、って気持ちが浮かぶ。