甘い魔法②―先生とあたしの恋―
本当に安心したように笑うお父さんを目の当たりにすると、やっぱり微妙な気持ちになる。
担任の事なんて一度も気にした事ないくせに、やけに先生の事は気にかけてるし。
出来れば知られたくない関係なのに……。
間接的にでも付き合ってる人の事を話すのは、微妙だ。
お父さんがやっと食べ始めたのを見て、あたしも箸を進める。
海老天にかき揚げにまいたけ。
他にもたくさん盛り付けられている天ぷらを見ると、お父さんが奮発した事が分かった。
その大半を食べ終わった時、食事を終えたお父さんが箸を置く。
そして、テーブルの上の一点を見つめた。
「……どうかした?」
食べ終わった器を重ね合わせながら聞くと、お父さんは少し緊張した様子で話しだした。
「実姫……。お母さんの事だけどな」
切り出された話題が、胸を瞬時に騒がせた。
半年くらい前にしたっきり、お父さんからもあたしからも出さなかった話題。
お父さんが緊張した顔をするから、あたしにまでそれが伝染してるみたいだった。