甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「お母さんに、二週間に一度会いに行ってるんだ。

半年くらい続けてるから……もう、十何回、会ってきた」

「……そうなんだ」


正直、かなりの驚きだった。

忙しいお父さんがそんなに会いに行ってるなんて、想像もしてなかったから。


だけど、なるべく感情を表さないようにして続きを待つ。


「だんだんと、今まで溜め込んだ気持ちを話してくれるようになったよ。

やっぱり、色々と我慢させてきたものがあったみたいで……」

「我慢って、ひとりにさせたって事?」


それ以外にも何かあるようなニュアンスだったから聞き返す。

けど、お父さんは誤魔化すように微笑んで、あたしの問いには答えずに話を進めた。


「やっぱり長年かけて失った信頼は、そう簡単には取り戻せない。

何度も会いに行ったからって、お父さんが家庭を顧みなかった事実は消えないんだ。

だから焦らないでゆっくりいかないと……。

実姫にはつらい思いばかりさせて本当に申し訳ないけど……」

「……そんなの、もう大丈夫だけど」



< 246 / 458 >

この作品をシェア

pagetop