甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「お母さんに、二週間に一度会いに行ってるんだ。
半年くらい続けてるから……もう、十何回、会ってきた」
「……そうなんだ」
正直、かなりの驚きだった。
忙しいお父さんがそんなに会いに行ってるなんて、想像もしてなかったから。
だけど、なるべく感情を表さないようにして続きを待つ。
「だんだんと、今まで溜め込んだ気持ちを話してくれるようになったよ。
やっぱり、色々と我慢させてきたものがあったみたいで……」
「我慢って、ひとりにさせたって事?」
それ以外にも何かあるようなニュアンスだったから聞き返す。
けど、お父さんは誤魔化すように微笑んで、あたしの問いには答えずに話を進めた。
「やっぱり長年かけて失った信頼は、そう簡単には取り戻せない。
何度も会いに行ったからって、お父さんが家庭を顧みなかった事実は消えないんだ。
だから焦らないでゆっくりいかないと……。
実姫にはつらい思いばかりさせて本当に申し訳ないけど……」
「……そんなの、もう大丈夫だけど」