甘い魔法②―先生とあたしの恋―


今までは、自分の生活が忙しくて、慣れない事ばかりでうやむやにしてきたけど。


突然いなくなったあの日を境に、あたしの生活の中にお母さんがいない事がじょじょに当たり前になっていってた。


それまで、毎日一緒にいて色んな話をしたお母さん。

だからこそ、寂しさだとか不安を毎日抱えてた。


そこからどうにかして立ち直って、やっとここまで来た。


それを、今、もし目の前に会いに来られても……、笑顔で迎えてあげる自信はなかった。


「だけど、お父さんとの事が原因で家を出て行ったなら……、あたしに連絡ぐらいしてくれてもよかったと思う……。

今さら罪悪感があって合わせる顔がないなんて言われたって……、お母さんの気持ち、分からないよ」


本音を言うと、お父さんの顔が悲しそうに歪んだのが分かった。

でも、今までちゃんと話した事がないからこそ、きちんと話しておくべきだと思って、続ける。



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