甘い魔法②―先生とあたしの恋―


一瞬、沈黙があった。


それは、お父さんが驚いたような顔をして黙り込んだから。

真剣な話をしたのを気まずく思いながらも見ていると、お父さんは優しく笑った。


「余裕がなかったんだろうな。心配なんかかけちゃいけないってそればっかりで、必死に仕事してた。

だけど……、今考えるとそれがいけなかったんだ。

家族なら、ちゃんと支えあわなくちゃいけなかった。……やっぱりお父さんが悪いんだよ」

「誰が悪いとかはもういいけど……、でも、お母さんはお父さんの事いつも庇ってた。悪く言った事なんかなかったよ。

だから、お母さんが、お父さんとの事が理由で出て行ったのが、ずっとなんでなんだろうって不思議だった。

……あたしから見る分には、仕事を頑張ってるお父さんを、悪く思ってるようには見えなかったから」


ずっと、それだけが不思議だった。


他に理由が見つけられなかったから、きっとお父さんが家にいないせいだって決め付けてたけど……。


お母さんはずっとお父さんの見方だったのに。


なのになんで急に……。




< 251 / 458 >

この作品をシェア

pagetop