甘い魔法②―先生とあたしの恋―


あたしの中で、ずっと不安に思ってる事があった。


もしも、お母さんとお父さんと3人の生活が始まっても……お母さんは、あたしなんかと一緒に住みたくないんじゃないかって不安だった。

置いていけるくらいの存在だったんだから。


声にこそ出さなかったけど、それは、お母さんが出て行ってからずっと気持ちの中にあった事。


お母さんはあたしと暮らしたくないかもしれないし、

あたしも……、例えお母さんが帰ってきたところで、またいつ出て行っちゃうか分からない不安を抱えながら生活していくんだろうなって。


愛されてるか疑問を抱えながら、今日出て行っちゃうかもしれない不安を抱えながら―――……。


だから、お父さんからさっきみたいな話を聞いたところで、大きく気持ちが揺らいだりはしなかった。

きっと、言葉ではなんとでも言えるから。

『心配してる』なんて、簡単に言葉にできる。



お母さんに対して、愛情がなくなったわけじゃない。

だけど……急にいなくなったあの日の事は、あたしの記憶に一生残り続けて、いつも不安を作り出す。

そう思うと……。


お母さんに帰ってきて欲しいだとか、会いたいって思う反面、会うのが怖い。




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