甘い魔法②―先生とあたしの恋―
ふぅ、と息をついてから、そんな考えを追い出すようにして先生の事を考える。
たった2年お母さんと離れたあたしがこんな風に思うんだから、きっと先生が抱えてる不安はもっと大きい。
一度捨てられたっきり、戻ってこなかったんだから。
『お父さんが言うんじゃなくて、お母さんから帰る事を望んで欲しいと思ってる。
そうしないと……きっと、お父さんが今までしてきた生活が、お母さんの中でしこりになり続ける』
不意に、お父さんの言葉が浮かんだ。
……あたしに衝撃を与えた言葉が。
あの時何も言えなくなったのは、先生の事が頭をよぎったから。
『いい加減、ちゃんと話してよ。
そんな風にただ黙って苦しそうにされたって、あたしには分からないっ』
『そんなに信用できないの? もっと頼りにして、何でも話して!』
最近のあたしの頭の中は、そんな、先生を問いただす言葉ばかりだった。
いつまでも自分の不安を話そうとしない先生に、いつもそう聞きたい気持ちでいっぱいだった。