甘い魔法②―先生とあたしの恋―
無理矢理にでも先生に話させれば、状況は改善するって。
あたしが後押しして吐き出させれば、先生は楽になるって。
……―――だけど、そんなのあたしの思い込みだ。
自分でも触れたくない傷に無理矢理触れられたって、何の解決にもならない。
手当てなんて銘打ったって、その行為が先生の望むものじゃなければ、今以上に傷つけるだけだ。
先生が触れて欲しくない傷に無理矢理触れて、見た目だけきれいになったって……、
きっと中から膿んで、先生の傷はもっと深くなる。
先生が望んでくれなきゃ、意味がないんだ。
お父さんの言葉のおかげで、誤った行動に出ないですんだ。
先生を、傷つけないですんだ……。
その事に心の底から安堵の気持ちが浮かんできた時、ケータイが震えた。
最近はあのメールの存在を先生に気付かせないために、常にマナーモードにしてあるケータイ。
鞄の中からそれを取って、受信メールを確認する。