甘い魔法②―先生とあたしの恋―

今、できること。



近付くにつれて見えてくる寮。

そして、その前に立つ人物。


その姿に、やっぱり、と呆れて笑う。


あたしの足音に顔を上げた先生は、白いTシャツの上に濃紺のジャージを着て、かなり深くまでキャップを被っていた。

軽い変装を思わせるその格好に、笑いながら近付いて声を掛ける。


「なんか超怪しい人がいる」

「どこがだよ。超自然だろ。こんな奴がよくジョギングしてるだろ」

「完全にヤンキーだよ、それ。

……っていうか部屋で待っててって言ったのに。心配症」

「別に市川待ってた訳じゃねぇし。これからコンビニ行こうとしてただけ。

そろそろ2リットルのペット終わるし」


そう言いながらあたしを通り過ぎていた先生を、慌てて振り返る。

どうやら本気でコンビニに行くつもりらしい先生の背中に向かって小声で叫んだ。





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