甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「あ、あたしのも買ってきて。
お茶のペットボトル2本」
「……却下。寮、鍵掛けとけよ。
俺、鍵持ってるから」
「あ、チョコも食べたい」
ふざけて注文を付け足すと、先生は答えずにスタスタと歩いて敷地を出る。
そんな後ろ姿に笑ってから、あたしも背中を向けて寮のドアに手をかけた。
言われた通り鍵を掛けたところで、握り締めていたケータイに視線を落とす。
ストーカーに返信したなんて言ったら、先生はきっと激怒だろうな。
……言うつもりもないけど。
『矢野先生も、キミに隠してる事あるよね』
なんでこの人は、先生が今何かを抱えてるって知ってるんだろう。
あたしが、今回の事を先生に相談していないのも知ってるって事は……。
やっぱり身近な人なんだ。
あたしだとか先生を、監視できるような場所にいる人―――……。