甘い魔法②―先生とあたしの恋―
胸を突く言葉
「……ここ?」
不意に足を止めた先生に視線をあげると、そこには公民館みたいな建物があった。
広い庭に開放的な大きい窓を持つ建物は、住宅街の中心にひっそりと建っていた。
庭にあるのは、木でできたブランコと、砂場と花壇。
花壇の中にたくさん咲いている、色とりどりの花が風に揺れている。
吸い込まれるようにそれを眺めていると、先生に右手を握られた。
「……入るの嫌か?」
握られた手にびっくりして先生を見上げると、少し緊張した様子の先生が瞳に映った。
「嫌? なんで嫌なの?」
「施設なんか、普通の暮らししてる奴には縁のない場所だろ」
「よく分かんないけど……でも、先生のおうちでしょ? 嫌なんかじゃないよ。
……そんな事より、先生、手……」
普段繋ぐ機会がないだけに、握られたままの手に戸惑いが隠せない。
それに加えて、いつもは絶対触れ合ったりしない屋外……。
先生に触れられたせいで反応した胸に、スリルからくる嫌なドキドキが混ざる。