甘い魔法②―先生とあたしの恋―
それを見ながらしばらくぼーっとして……ベッドから立ち上がる。
そして、チョコを片手にクローゼットを開けた。
……先生の部屋に突入するために。
開けたはいいけど……。
考えてみれば、クローゼットから先生の部屋に入るのは初めてで。
目の前の壁を高いハードルに感じながらも、気合いを入れて仕切り板の上に膝から乗り上げる。
先生はいつも簡単そうに軽快に入ってくるから、きっとあたしにも出来ると思ったのに……。
結構難しくて、両膝を仕切り板の上に乗せたところで、前のめりにバランスを崩した。
片手に持っていたチョコを庇ったせいで、頭を板にぶつけちゃって、その音に気付いた先生があたしを覗き込む。
「……何やってんだよ。なんかすげぇ音したけど大丈夫か?」
「大丈夫なわけないじゃん。頭打った……」
仕切り板の上で座り込んだ状態でおでこをさすっていると、先生はそんなあたしを見て笑いを堪える。
「……」
口許を拳で押さえてるけど、バレバレだし。