甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「……笑いたいなら笑えばいいじゃん。どうせマヌケだもん」

「いや、ごめんごめん。

で、どうしたんだよ」


面白がってるような笑いを微笑みに変えた先生が、優しい声で聞く。

その笑顔に余計に恥ずかしくなって、目伏せたままボソボソと理由を説明する。


「だって……、先生が買ってきてくれたのに1人で食べるのもなんか悪いから。

一緒に食べようかと思って……」


そう思ったのも本当。


でも、本当の理由は、どうにかして先生の不安を少しでも和らげようと思ったから。

それにはやっぱり、一緒にいる時間が増えるのが一番だと思ったから。


食堂で一緒にはなるけど、最近は坂口先生が来る事も多いし、2人っきりっていうのはそんなになかった。

それに、やっぱり食堂で2人でいるのと、部屋で2人でいるのとは違う。


より孤立した空間で、より密室な空間で……。

先生は、恋人として接する時間に、初めて安心を覚える気がしたから。


あたしの気持ちがハッキリと見えた時、安心するんだと思うから。




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