甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「先生、手……なんか恥ずかしいよ」
あたしの言葉をまるで無視してる先生に再度訴えると、先生は口の端を上げて笑みを浮かべる。
「じゃ、行くか」
笑いかけられた途端、胸がトクンと波立つ。
あまりに嬉しそうな先生の笑みに、それ以上繋いでた手に文句をつける事はできなくなってしまった。
先生の手をぎこちなく握り返すと、先生があたしを振り向く。
先生の視線から逃れるように俯くと、先生は笑みを零して、あたしの手をきつく握り直した。
※※※
「まぁ、ハルキくん? すっかり大人になって……」
建物に入って先生がまず向かったのは学園長室。
ノックすると、品のいい五十代の女の人が迎え入れてくれて……先生をしばらく見つめた後、柔らかく微笑んだ。
「久しぶり、里子さん」
先生はそう挨拶してから、あたしに視線を移す。
「学園長の里子さん。昌じぃの奥さん」
「え、校……昌おじさんの?」
危うく『校長』と言いかけた口をもごもごと誤魔化す。
そんなあたしを先生は楽しそうに笑って、視線を里子さんに戻した。