甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「でも、誰だか分からないって本当に気持ち悪いよねー。
いつ見られてるか分からないし、なんかそいつの言い方だと実姫の事見てるような感じだし」
「うん……でも、別にあたしを殴ったりしたいならもうやってるだろうし。
とりあえず身は安全だと思うから、あとは……」
「ハルくんとの接触だけ控えればいいって事か。……校内でのね」
『校内でのね』なんて付け加えた諒子は、やけに楽しそうにあたしを見てる。
その理由が分かって、諒子から目を逸らしながら首筋の絆創膏を片手で隠した。
絆創膏を貼ると余計に目立って嫌だったんだけど、ファンデでも隠し切れなくて仕方なく。
……見えるとこにはつけないでってこないだ言ったのに。
先生のバカ。
「席つけー。出席取るぞー」
あたしの顔が熱くなったところで、担任がドアを開けて入ってきた。
その声に、ざわついていた生徒達が自分の席へと戻っていく。
出席を取り終わって、近付いてきた受験の事について少し話した担任が、出席簿を教卓の上で揃える。
そして、思い出したように言った。