甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「落ち着けって。
ヤバいんだから大声で話せる話じゃねぇんだって」
俺の言葉に、昌じぃは少し辺りを見回してから、その視線を俺に戻す。
俺を怪訝そうに見る表情には、疲れが見える。
「昌じぃ歳とったなぁ。
俺が施設入った時はそんなシワだらけじゃなかったのにな」
「おまえが心配ばかり掛けるからだろ……。
あと、瞬の事で忙しかったからな」
50代にしては若く見えるのに、目尻には数年前より深くなったシワが目立つ。
最近は俺をはじめとする施設の関係者に悩まされているらしく、笑顔よりも若干ため息が多いように感じる。
とはいえ、歳にしては十分元気だと思うけど。
「ああ、瞬な。就職決まったんだろ?
なんか半端な時期だけどどこに決まったんだよ」
「それがな、驚くなよ?
……って今は瞬の話してる場合じゃないだろ。
ハルキ。まずは自分の心配をするべきだ」
「……大丈夫だよ。ちゃんと考えてるから」