甘い魔法②―先生とあたしの恋―


先生だけじゃない。

決して、先生だけが特別じゃないから。


だから、そんな怯えた目であたしを見ないで。

イケナイ感情みたいに思わないで。

悪い事してるみたいに怯えないで。

おかしくなんかないから。


そんなの、あたしだって同じなんだから―――……。


じっと見つめながら言うと、先生は黙ってあたしを抱き寄せた。

そして、やっと聞こえるほどの小さな声をあたしの耳に届ける。


「ごめん。おまえが嫌ならやめるから……。

馬場先生とも生徒とも、必要以上に関わらないようにするから。


だから、市川が嫌な事、何でも俺に言えよ。

頼むから……、離れていくな……」


掠れる声が、胸を締め付ける。

どこまでも締め付けて離さない先生の声に、ついに涙が零れ落ちた。


「行かないよ……」


抱き合ったまま聞くチャイムが、静かに響く。



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