甘い魔法②―先生とあたしの恋―
その後、授業に遅れた先生とあたしは、別々に教室に入った。
問題集を運ぶ途中、突然気分が悪くなったあたしは保健室に行ったって事にして、先生が先に教室に入って。
その10分後、あたしは教室のドアを開けた。
教室にいる誰よりも先に視界に飛び込んできた先生が、あたしを見て微笑む。
「大丈夫か? 市川」
いつも通りの先生。
だけど……。
もしかしたら、それは仮面なのかもしれない。
さっきの言葉が脳裏をかすめて、あたしは先生から視線を逸らしながら頷いた。
「大丈夫です。もう治ったし」
「そっか。ならよかった」
「……うん」