甘い魔法②―先生とあたしの恋―
【第六章】
許されない関係
【矢野SIDE】
授業を終えて教室を出ようとして、一瞬だけ市川を見た。
普段、学校では徹底して俺と目を合わせようとしない市川。
今も当然俺の方を見てないだろうと思ったから見たのに。
「……―――― 」
思いがけず目が合って、身体が強張った。
だけど……微笑みかけられて、その力が抜けていく。
微笑んでから伏せられた瞳を見てから、教室のドアを閉めた。
絶対に、怒ってるか戸惑ってるかのどっちかだと思ったのに……。
なのに、微笑みかけてきた市川に、動揺と安心が一緒になって俺を包んでいた。
嘘の笑顔には見えなかった市川の表情。
市川の微笑みに、罪悪感がどんどん募っていく。
許されるハズのない行動。
度を超えた嫉妬。
そんな行動を取った俺に、なんで―――……。