甘い魔法②―先生とあたしの恋―
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「矢野先生」
放課後、帰宅準備をして職員室を出たところで、後ろから声をかけられた。
声で誰かが分かって、振り向くの事も躊躇しながら、ゆっくりと視線を交わした。
「なんですか? ……馬場先生」
今日、市川と話したばかりなのに……。
だけど、同じ職場にいる以上、変な態度は取れない。
少なくとも、理性が働いている今の俺には不可能だった。
一応微笑んで答えると、いつもと違う様子の馬場先生に気付く。
いつもならすぐに赤く染める顔が、今日はやけに強張っていて、話の深刻さを物語ってるようだった。
視線の先で、馬場先生は目を伏せる。
そして言いづらそうに口を開いた。
「ちょっとお話があります。
……音楽学習室、来てもらえますか?」
「……それは、仕事上の話ですか?」
先日の事があるため、一応釘を刺す。
その問いに、馬場先生は少し黙った後、頷いた。