甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「なんで市川さんなんですか……?」
もっと違う事を言われると思ってたから、一瞬言葉の意味が理解できなかった。
「なんでって、」
「どうしても市川さんじゃなくちゃいけない理由があるんですか……?」
「……市川が生徒だからって意味ですか?」
「それもですけど……」
教職上の立場での事を言ってるんだと思って聞いてみても、馬場先生の言いたい事は違うようだった。
言いたい事がイマイチよく分からなくてますます困惑する。
「あの、つまりどういう―――……」
「私、知ってますよ」
「……なにをですか?」
「あの子の親、市会議員か何かで、学校に寄付を寄せてるんですよね?
だから先生方からの評価もいいんじゃないですか……?」
「……どういう意味ですか?」
「2年で受け持っているクラスがあるんですけど、その中の男子が市川さんの事が好きみたいで……よく騒いでます」