甘い魔法②―先生とあたしの恋―


2年の男子で、市川の事が好きなヤツ。


その条件を聞いて、岡田の顔が頭に浮かぶ。

騒がしいヤツだから、馬場先生の耳にそんな話が入ってもおかしくない。


「岡田の事なら知ってますよ。だけど、それと何の関係が?」

「市川さん、なんでも中学の頃から男子と付き合いがあったとか。

その男子が学校まで押しかけてきたとか、幼なじみの男の子とも一時期噂があったとか……たくさん話しているのを聞きました」


去年、確かに、田宮が寮まで押しかけてきた事があった。

清水との事は、俺と市川の関係を誤魔化すために、清水が好意でついてくれていた嘘。


いずれにしても、市川が色々と思い悩んで超えてきた過去。


その時の市川を知っているだけに、不愉快になる。

岡田を通して、そんな事を詳しく知られているなんて。


「ですから、それと何の関係があるんですか?」


苛立ちを隠しながら聞くと、馬場先生は強い眼差しで俺を見た。


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