甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「市川さんは、中学から何人もの男子と噂になるような子だって事です。
そんな、恋愛にばかりフラフラしているような子が、
なんであんな成績が保てて、教師からの評価もいいのかが分からないんです」
馬場先生が言いたい事に気付いていくにつれて、動揺していた気持ちが収まっていく。
そして、それとは違う理由で、感情が静かに揺れ始める。
動揺なんかとは違う、もっと厄介な波が立って俺を揺らす。
「……市川の成績に、親の仕事が関係してるとでも?」
さっきまで努めて出していた明るい声とはかけ離れた低い声。
馬場先生は少し目を見張ってから、気まずそうに口を開いた。
「無きにしも非ずじゃないでしょうか。だから、先生もきっと騙されてるんですっ……!
先生は優しいから、きっと市川さんにいいように……っ、」
「―――本気で言ってるんでしょうか」