甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「もういいですっ。
そんなに想ってるのに告げ口なんかしたら、私が悪者みたいじゃないですかっ!」
「……そういうつもりじゃ、」
「振られた事は確かに悲しいですけど……だからって、矢野先生に恨みを持ったりしてる訳じゃありません。
矢野先生に振られた腹いせにバラす、なんて考えてもいませんから。
見くびらないで下さい!」
「……すみません」
苦笑いで謝ると、馬場先生は厳しい表情のまま続ける。
「ただし。もしバレても、私は何も知らなかったって事にして下さいね。
共犯だなんてとんでもないですからっ。
もちろん、貴方達を養護するような発言も一切しませんからっ」
怒ったような口調で言う馬場先生に、微笑んで頭を下げる。
「ありがとうございます」
深く頭を下げてそれだけ告げてから教室を出ようとした時。
馬場先生が心配そうな声で呼び止めた。
「あ、矢野先生……」
「はい?」