甘い魔法②―先生とあたしの恋―


 ※※※


「なぁ、矢野セン、コレなんだか知ってる?」


結局数学学習室まで付いてきた澤田は、俺が席に座るなり、賑やかに話しかけてきた。

澤田が突き出した手の先で揺れるのは……。


「……林檎うさぎだろ」

「アレ?! なんだ、矢野セン知ってたんだー……。

絶対知らないかと思ったのに」

「それぐらい常識だろ。俺、まだ若いし。

……その銀のプレートんとこ人に触られると願い事が叶わないんだろ?」


澤田がプラプラと揺らしている林檎うさぎは、市川が持っていたのとまったく同じだった。

ただ、色が違うだけで。

澤田が持っているのは、水色の林檎を被ったうさぎ。


澤田は首を傾げてプレートを見た。


「そんなの聞いた事ねぇけど?」

「……つぅか、そのプレートって何か書いてあるのか?」

「ああ。色によって違うけど」

「色によって?」




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