甘い魔法②―先生とあたしの恋―
冷静に見えて、本当は情の厚い高遠が、すぐに吹っ切れるとは思えないけど。
……でも、澤田と小林が一緒にいるのを見て、嫌な気分になるような奴じゃない事は確かだ。
高遠が何よりも望んでいた……、
教師って立場の自分じゃどうしても叶えてやれなかった、小林の幸せな恋が実現したんだから。
それを思うと、身体の奥にじょじょにえぐられるような鈍い痛みが走る。
誰よりも自分がそれを叶えてやりたかったのに、他の男に望むしかなかった想い。
……どうしょうもないほど、つらくなる。
「……なぁ、矢野セン」
「ん?」
新しく届いた問題集に視線を落としながら返事をする。
視線を上げると、まだ林檎うさぎを眺めている澤田が聞いた。
「相手に彼氏がいて、しかもきっぱり断られてるのに、想い続けるとかって……迷惑だよな?」