甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「澤田から何も言えないのか?」
「言ったよ。すげぇ言った。迷惑っぽいからやめとけって。
なのにさー……なんか、『市川先輩、必死すぎるから』とか訳分かんない事言ってさー」
「必死すぎる?」
「うん。『何かを必死に守ろうとしてる』って。
せめて息抜きさせてやりたい、とかなんとか……訳分かんないだろ」
ため息交じりに言う澤田に、最近の市川との時間が思い起こされる。
確かに、最近の市川は少しおかしい……つぅか、素直だった。
今までではありえないくらいに気持ちを言葉で伝えようとしてた。
俺の事を、じっと心配そうに見つめて……でも、目が合った途端に安心させるように微笑んで。
『何かを必死に守ろうとしてる』
その『何か』って……、俺との関係か?
それとも―――……。
俺自身を?
「岡田は、市川先輩が振り向いてくれないのは分かってるって言ってた。
けど、先輩が幸せそうな恋してるならいいけど、今のままじゃ嫌なんだって。
必死すぎるから、頑張ってるのが見て分かるから、苦しそうで嫌なんだって。
市川先輩って、そんな難しい男相手に恋愛してんのかな……」