甘い魔法②―先生とあたしの恋―
必死の勇気に、必死の言葉。
それを、俺に伝えようとしてくれた市川は……何を考えてるんだろう。
最近のあいつの行動に疑問を抱きながらも、自分の気持ちを抑えるのだけに精一杯になってた俺は……。
その理由を深く考えてなかった。
市川が何かに必死になってるって事さえ、気付けなかった。
……岡田でさえ、気付いたのに。
今朝、市川の腕を無理矢理押さえつけた感触の残る手のひら。
じっと眺めながら、眉を潜めた。
「難しい相手なのかもな……」
ただ、大切にしてやりたいのに。
ただ、他の奴なんかよりも傍にいたいのに。
……―――それは、時に狂気になる。
『ハルくんは、自分が想ってる以上に相手に想い返してもらえなくちゃ安心なんか出来ないよ。
確実な保障された愛情じゃなくちゃ、安心できない。
ハルくんは、市川さんが大切かもしれないけど……、どこかで信じてない。
だから、怖がってる―――……』
いつまでも耳に残り続ける秋穂の声が、胸を痛める。