甘い魔法②―先生とあたしの恋―
ジレンマ
【実姫SIDE】
「実姫、頼みがあるんだけどっ!」
昼休みの教室に、和馬の声が響く。
だけど、それはすぐに騒がしい教室の空気に消された。
「……なに?」
諒子と向かい合うように話していたあたしは、机の横に立つ和馬を見上げる。
顔の前で両手を合わせる和馬を。
「あのさ、今日の放課後、ちょっと寮行ってもいい?」
「……いつも勝手にくるじゃん。なんで今日はわざわざ聞くの?」
不思議に思って聞くと、、和馬は明らかに気まずそうな表情をして……。
その理由を白状する。
「あのさー……実は一昨日吉岡とケンカしたんだけど、昨日、俺が部活終わるまで校門で待ってたんだよ。
で、ものすっげぇ罵詈雑言を浴びせられて……多分今日も待ってるだろうから、一時間くらいかくまって欲しくて」
「和馬くん、浮気したの?」
横から諒子が楽しそうに聞くと、和馬はぶんぶんと首を横に振った。