甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「してないっ!
イトコと一緒に買い物行っただけなのにさー……なんかすっげぇ怒ってて」
「イトコって女の子なの?」
「そう。一学年下だから、ちょうど吉岡と同じ歳でさー。
イトコだって言ってんのに、『でも、あの子は先輩に気がある!!』って言い切ってて……どうしたらいい? これ」
「……吉岡さん、嫉妬深そうだもんね」
吉岡さんのすごさに絶句する諒子。
そんな様子に苦笑いしながらそう呟くと、和馬はがっくりと肩を落として頭まで落とす。
「俺何にも悪い事してないのに……。
昨日なんて『先輩が気を持たせるような態度とるからいけないんだから、自己責任だよ!』とかさー……。
別に俺のイトコは本当にそういうんじゃないのに……つぅか、イトコだし。親戚だし」
「そう言っても納得してくれないの?」
「なんかもう頭に血が昇ってて、俺の話が届かない感じ。
前にもあったんだよ、こういう事。そん時の経験から言えば、2、3日すればじょじょに普通に話できるようになるからさ。
だから、今日だけ……」
ちらっとあたしの表情を窺う和馬に、仕方なく呆れ笑いを作って頷く。