甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「ごめんって……、困るよ。そういう事なら帰って」
「そうだよ、岡田。そういう事だから帰れ」
あたしに頭を下げたまま、顔だけを横に向けて言う和馬。
岡田くんはむっとした表情を返した。
「別に部屋まで行こうとか、変な事考えてる訳じゃないからいいじゃないっすか。
幼なじみの後輩として遊びにきただけ……」
「岡田さー、実姫の事そんなに好きなわけ? なんなんだよ、その諦めの悪さ。
見ててムカつく。俺みたいにスッパリと割り切れよ」
「割り切ってはいますよ。
振り向いてもらえないのは覚悟の上です」
「覚悟してんならもう迷惑かけんなよ」
「そりゃそうですけど……。
でも、せっかく好きになったのに、彼氏がいるからってすぐに引けるとか……そういう感じじゃないんです、俺。
なるべく顔だって見たいし、話もしたい。
自分が納得するまで頑張んなくちゃ、次にいけないし。
市川先輩だったら、そう思いませんか?」
急に聞かれて、言葉がすぐに出てこなかった。