甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「……――― 」
立ち尽くしたようにも見える先生の姿。
ぼんやりとした目であたしを見る先生の表情に、胸が張り裂けそうになる。
先生の瞳には、今のこの光景がどう映ってるんだろう。
そればかりが気になって、しょうがなかった。
「……でも、迷惑だったならすみませんでした。
これからは気をつけます」
岡田くんがくるっと背中を向けて足を踏み出そうとした時。
立ち止まっていた先生も寮に向かって歩き出した。
「あれ、矢野センじゃん。どしたの? こんなとこで」
先生に気付いた岡田くんが、明るい声で話しかける。
けど、先生は……。
「別に。家に帰るだけ」
「え、家って?」
岡田くんの疑問に答える事なく、あたしと和馬の横を抜けて寮へと入った先生。
すぐに階段を上がり始めるから、その背中を追いかけたくなったけど……。
岡田くんの視線の手前、その衝動を我慢する。