甘い魔法②―先生とあたしの恋―
ぶつぶつと悩み始めた和馬。
あたしは口を尖らせて視線を落とす。
誰に聞いたって分からないのは分かってるのに。
一番聞きたいのは、先生なのに。
思いのまま聞いていいのか分からなくて、先生の気持ちが分からなくて、何もできない。
聞けない事が、あたしの中で相当なフラストレーションになっていたみたいで、じわじわとイライラが感情を支配し出す。
「……和馬だってはっきりしないじゃん」
「だって俺そんな経験ないし……」
「経験なくたって、いつもはちゃんと答えるじゃん」
「けど、質問が質問だから、あんまウカツに答えてもさー。
ハルくん、意外とナイーブそうだし。それに、案外男の方が女より……」
いつもは正義を貫き通すくせに。
そんな和馬でさえ、あたしの欲しい言葉は言ってくれなくて。
溜まっていた不満が溢れ出す。