甘い魔法②―先生とあたしの恋―
2人の間だけ、まるで時間が止まったみたいに感じた。
古い掛け時計が響かせる秒針の音が、はるか遠くに聞こえる。
どこか夢みたいな……、そんな感じ。
こんなにも見つめ合ったのなんか初めてで。
でも、目を逸らす事なんてできなくて。
精一杯の勇気を振り絞って見つめ返すあたしに、先生はつらそうに表情を歪めた。
そして、聞きたくない言葉を唐突に口にした。
「―――少し、距離を置いた方がいいのかもな」
「……え、」
先生の言葉に、止まりかけていた時間が急速に動き出す。
先生から告げられたとは思えない言葉だった。
自分の耳を疑ったけど……だけど、何度考え直しても、それは先生の声で作られた言葉で。
間違いなく、あたしに告げられた言葉で……。
信じられない事実に、混乱が一気にあたしを包む。