甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「嫌な思いって、何?」
聞くと、先生は少し困ったような顔をする。
そんな先生を見つめながら続けた。
「あたし、先生と一緒にいた事で嫌な思いなんてした事ないよ。
こないだの、学校での事を言ってるなら、それは先生の間違いだよ。
あたし、あの時の事を嫌だなんて思ってないっ。
それに……、先生の抱えてる悩みを一緒に考える事を、大変だなんて思わないよっ!」
冷静に話そうとしたのに。
溜まっていた感情が次々に声になろうとするから、途中からは感情的になってた。
何よりも、あたしが思ってる事を先生に伝えたくて。
先生の、あたしを庇ってばかりの考え方を、崩したくて……。
言葉となって溢れ出してくる感情が、止まらない。
「なんで……っ?
あたし、本当に先生の事が好きなんだよ?
なのに、なんで……、なんで信じてくれないの……?」
「信じてるよ。市川の気持ちはちゃんと……」
「じゃあ、なんで……いつも不安そうに笑うの?
……先生が少しおかしいのは、気付いてた。
でも、何が理由でも、先生から言ってくれるまで待とうと思ってたのに……。
いくら待っても、先生はあたしに心を開いてくれない……っ」