甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「市川と清水が話してた『ハルくん』を、一瞬、岡田の事だと思ったんだよ。

あいつも、そういう呼び名があるらしいから、それで。

……で、市川の事を疑った。

俺が知らないところで、もしかして岡田と、って」

「……あたし、岡田くんの名前なんて知らない」

「……知ってる。多分そうだろうなって思った。

さっき、俺が見つめた時、おまえは俺から目を逸らそうとしなかったから」


言われて、少し驚いた。


さっき、先生があたしをじっと見ていた時。

先生はあたしの表情から真実を見つけ出そうとしてたなんて。


「でも、そう思ったなら直接聞いてくれればよかったのに……」

「……言葉じゃ、簡単に嘘がつけるって知ってるだろ?」


多分、お母さんとの事を、そしてあたしの事を言ってる先生に、あたしは少しだけ黙った。



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