甘い魔法②―先生とあたしの恋―
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「あれ、ハルキくん。どうしたの?」
日曜日の午前中、施設を訪れた俺を、里子さんの柔らかい笑顔が迎え入れた。
静かな園内にホっとしながら、里子さんの座るソファの向かいに腰を下ろす。
「別に。こないだはゆっくり話せなかったから。
今日はちょうど時間もあったし」
「こないだは秋穂が失礼な事言っちゃって……、実姫ちゃん、気にしてなかったかしら」
心配そうに聞く里子さん。
まっすぐに目を合わせられなくて、目を伏せてなんとか微笑んで誤魔化す。
「大丈夫じゃねぇかな、多分……。
あいつ、見た目ほど弱くないから。結構タフでこっちが驚かされるし」
「そう。ならよかったわ。
ハルキくん、紅茶飲めるわよね?」
「あー、いいよ。気使わなくて」
「ううん。近所の方にね、お土産で頂いたのがあるの。
せっかくだから一緒に飲んでよ」
笑顔でそういう里子さんに、俺も微笑んで頷いた。