甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「幸せになる権利は誰にでもあると思う。
だけど……、そうなるための努力を惜しんだ人は、見合った分しか幸せにはなれない。
私は、そう思ってる」
「努力ね……」
「ここに預けられた事を、不幸だって思う子がたくさんいるのは知ってるわ。
だけどね、そこで全部を諦めちゃったら、その子の人生にそこから先、驚くほどの幸福が待ってるとは思えないの」
じっと見ていると、里子さんが微笑む。
その笑顔が柔らかくて、気持ちが落ち着いていくのが分かった。
「上を見たら限りがないけど、それは反対でも一緒だわ。
与えられた環境の中で努力していくしかないのよ。
もしも、与えられた環境に満足できなくても、そこから先は自分で変えていかなくちゃ」
「……」
「不平等に感じる事もたくさんあるけど……でもね、頑張ってる人間に罰は当たらない。
諦めたら、そこで終わりだもの。
人生のうちに降りかかる幸せと不幸は同じ数だなんて言うけど、諦めた時点で、幸せを受け取る権利もなくしてるんじゃないかって思うわ。
綺麗言かもしれないけど、私は、幸せは頑張った人間に与えられるモノだって思ってる」