甘い魔法②―先生とあたしの恋―
それどころか。
俺の不安を取り除こうとして、あんなに頑張ってくれてたのに。
それなのに、何を不安に思う事があったんだよ。
市川は、あんなに気持ちを態度で示してくれてたのに―――……。
「バッカじゃねぇの、俺。
……はー、カッコ悪ぃ……」
これからしようとしている事が、まるでへタレ告白のように思えて、長いため息を落とす。
それでも、昨日までのような重い気持ちは姿を消していた。
里子さんが導いてくれた答えが、正しいモノだって事を証明しているみたいだった。
ずっと答えを分かりながらも、誰かに背中を押してもらいたかったんだって事に、今さら気付く。
同時に、里子さんに頼れた自分を、少し嬉しく感じた。
「明日、か……」
どうしょうもない自分との決着をつけない限り、前には進めない。
逃げてばかりいた弱い部分を市川に見せる勇気を探して、決戦に備えた。