甘い魔法②―先生とあたしの恋―


落ち着かなくて早めに着いた学校。

朝練が行われる校庭脇を抜けて、まだ人もまばらな校舎に入る。

すれ違う生徒数人と挨拶を交わして職員室に入ると、いつもよりガランとした部屋が俺を迎え入れた。


職員室の自分のデスクにカバンを置いた時、電話が鳴った。


「はい。宮園高校でございます」


何回かコールを響かせた電話を、事務の職員が取る。

40歳を回った女性の落ち着いた声が静かな職員室に響く。


「おはようございます。……はい。

すみません、島田はまだ……はい。分かりました。

3-5の市川さんが欠席ですね。分かりました。伝えます」


事務職員の声に咄嗟に振り返るも……。

普段そこまで接点がないし、理由を聞くわけにもいかずに視線を自分の机に移した。


「おはようございます」

「あ……、おはようございます」


次々に先生方が職員室に入ってきて、立ち尽くしていた自分に気付く。

動揺したままだったけど、なんとかイスに座った。



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