甘い魔法②―先生とあたしの恋―


……欠席。

市川が父親に迷惑をかけたくないって理由で、どんなに体調が悪くても欠席を嫌がっている事を知っているだけに、簡単な理由じゃ片付けられない。

父親との関係が補修されても、市川のそういうところはあまり変わっていないように思えるし……。


第一、電話してきたのは誰だ?


父親だとしたら……かなり体調が悪くて実家に帰ってるとかか?

もしかしたら、昨日の夜すでに市川は部屋にいなかったのかもしれない……。


不安ばかりが襲ってくる中、再び職員室の電話が鳴る。

女性事務員がさっきと同じ口調で電話口に出るも、その声は耳を通り抜けていた。




その日の4時間目、市川のクラスでの授業があった。

教室にはやっぱり市川の姿はなくて、俺の視線は虚しく市川の席を素通りする。


……そして、市川の後ろの席に座っているハズの内田までいない事に気付く。


「今日の欠席は?」


いつも言っている言葉を緊張しながら言うと、週番が答える。



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