甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「すみません、遅れました……って、なんだ、矢野センか」
「なんだ、じゃねぇだろ。
……どうしたんだよ、2人して」
笑顔を浮かべる内田と、その後ろで目を伏せたままの市川に聞く。
俺とクラス中の生徒の視線を集めた内田は、苦笑いをしながらその理由を話す。
「あ、えっと、昨日食べたケーキにあたっちゃって。
実姫が作るって言い出して作ったのはいいんだけど、それがまたすごい味で……」
「ちょっとっ!」
内田を止めた市川と、不意に視線がぶつかる。
俺と目を合わせた市川は、じっと俺の目を見て……、睨むような強い眼差しを残した。
その視線の意味するものが分からなくて黙った俺に、内田が続ける。
「まぁ、そんな事だったんだけど、2人ともさっき治ってきて学校にも来れそうだったから来ました」
「……本当か、それ」
「もー、ちゃんと学校にも連絡入れてからきたし。
いいでしょ、もう席着いても」