甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「すみません、遅れました……って、なんだ、矢野センか」

「なんだ、じゃねぇだろ。

……どうしたんだよ、2人して」


笑顔を浮かべる内田と、その後ろで目を伏せたままの市川に聞く。

俺とクラス中の生徒の視線を集めた内田は、苦笑いをしながらその理由を話す。


「あ、えっと、昨日食べたケーキにあたっちゃって。

実姫が作るって言い出して作ったのはいいんだけど、それがまたすごい味で……」

「ちょっとっ!」


内田を止めた市川と、不意に視線がぶつかる。

俺と目を合わせた市川は、じっと俺の目を見て……、睨むような強い眼差しを残した。


その視線の意味するものが分からなくて黙った俺に、内田が続ける。


「まぁ、そんな事だったんだけど、2人ともさっき治ってきて学校にも来れそうだったから来ました」

「……本当か、それ」

「もー、ちゃんと学校にも連絡入れてからきたし。

いいでしょ、もう席着いても」



< 389 / 458 >

この作品をシェア

pagetop