甘い魔法②―先生とあたしの恋―


優しい笑顔にそう返すと、里子さんはにこりと微笑んでから先生を見る。


「なに? 里子さん」

「今日は実姫ちゃんを見せびらかしに来たんでしょ」

「ただの時間つぶしだって」


誤魔化すように笑う先生に、里子さんは笑いながら言う。


「しっかりした素敵なお嬢さんね。

ハルキくんがそんなに夢中になるのも分かる気がするわ」

「……夢中になってんのは、こいつもだけどね」


気まずそうに笑いながらも否定はしない先生。

驚いて先生を見上げたけど……、それを予想してた先生の片手に、目許を覆われた。


「いいわね。仲良しで」


里子さんの笑い声に、あたしも思わず笑みを零す。



瞳の端で秋穂ちゃんを捕らえようとしたけど、もうその姿はなかった。







< 39 / 458 >

この作品をシェア

pagetop