甘い魔法②―先生とあたしの恋―
にこりともしない市川。
強い眼差しで見つめられて、市川への想いを膨れ上がる。
必死に俺を見てくる市川が、何を言おうとしてるのかは分からない。
それでも、愛しいと思う気持ちは止めようがなかった。
「あたしからでもいい?」
市川の部屋に入ったところで、市川が話を切り出した。
向かい合うように床に座っている市川と目を合わせて、緊張を感じながらも頷く。
なんでだか、ずっと話していなかったような気分だった。
目の前の市川が新鮮で、向き合う事が嬉しくて照れくさいような。
だけど、今はそれを凌ぐ不安が俺を包む。
「いいよ。
……でも、あんま嫌な話は聞きたくねぇんだけど」
あまりに真剣な目で見てくるから、苦笑いと弱音を零す。
市川は少し考えてから眉を潜めた。
「……先生の捉え方によっては、嫌な話にもなるかも」
「……あのさ、市川。
俺、市川に見捨てられたっておかしくない事してるし、おまえを俺に縛り付けとく権利なんて俺にはないのは分かってる。
……けど、俺、おまえと別れたりはしたくない。
つぅか、そんな事できねぇよ」
「……」