甘い魔法②―先生とあたしの恋―
「……先生。
あたしと結婚して」
「―――……」
驚いて声を失った俺を、市川の真剣な表情が捕らえる。
だけど、さっきまで強い意志を宿らせていた瞳は、涙でわずかに揺れていた。
冗談なんかじゃない市川の言葉と気持ちに、微笑んで市川を見る。
「……いいよ。
つぅか、プロポーズは俺にさせろよ」
そう答えると、市川は涙を浮かべて俯いて、唇をかみ締める。
市川が、なんで急にこんな事を言い出したのか分からなかった。
だけど、市川の強張った表情から、不安が見て取れたから素直に答えた。
泣き出しそうな市川に、手を伸ばそうとした時。
俯いたままの市川が、震える声を出した。
「結婚したら……もう、他人じゃないんだからね」
言葉の意味が分からないまま頷く。