甘い魔法②―先生とあたしの恋―


あまりの言われように、思わず笑みが零れる。


―――だけど。

同時に涙が浮かんできたせいで、頭を下げたまま顔が上げられなかった。

市川の強い口調の優しい言葉が、俺の気持ちを熱くさせる。


「それだけの事じゃん……。

たったそれだけでしょ?


あたしがいいって言うなら、問題なんかないでしょ……?

なのに、いつまでも迷ってないでよ」


今まで誰が相手でも拒んできた場所に入り込んでくる市川。

気持ちの中でずっと凍っていた部分が、溶け出しているみたいだった。


熱くなった瞼が、熱を逃してくれない。


「……すげぇ言われようだな。

本当に……俺、どうしょうもねぇな……」

「……先生?」


僅かな声の変化を聞き取ったのか、市川が俺の顔を覗き込む。

俺はその視線から逃れるように横を向いた。





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