甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「……市川?」


しばらくして、市川の身体を少しだけ離して覗き込む。

あまりに静かな市川が気になって目を合わせると、やけに無防備な表情を返される。


いつもはきゅっと結んでいる口許も、わずかに開いていて、目もトロンとしてぼーっと俺を見つめていた。


そんな表情に引き寄せられるまま市川の唇にキスをして……、それを深めようとした時。

市川が身体を竦ませた。


「んっ……なに?」

「なにって……キスしてたんだろ?」

「え、今……?」


意味の分からない言葉に眉をしかめると、市川は目をこすりながら小さく唸る。


「んー……ごめん、先生。眠い……」

「眠いって……おまえ、昨日21時前に寝てただろ?」

「昨日は、ご飯食べた後すぐ諒子のうちに行って色々作戦練ってたからあんま寝てなくて……。

でも先生とくっついてたら安心して眠くなっちゃった。

ちょっと寝てもいい……?

話はまた後で……」


半分寝ぼけてるような市川。

申し訳ない気分になりながら、微笑んで頷く。



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